星野リゾート トマムのウェディングは、雲海や豊かな自然環境といった印象的なロケーションを備えており、リゾートウェディングとしての魅力は十分に備わっていた。一方で、その魅力は主に写真やビジュアルを通じて伝えられており、「なぜトマムで結婚式を挙げるのか」という問いに対する答えが、明確なかたちで示されていない状態にあった。
ユーザーはサイトを訪れた際に、美しい風景や施設の雰囲気を直感的に理解することはできるものの、それが自分たちにとってどのような時間になるのか、どのような体験として記憶に残るのかまでは具体的にイメージしきれない。そのため、検討を進める中で、他のリゾートウェディングと同じ土俵で比較されやすく、ロケーションや見た目の印象といった分かりやすい要素で判断される傾向があった。
本来トマムが持つ価値は、単なる景観の美しさにとどまらず、滞在を通じて得られる体験の質や、時間の過ごし方そのものにある。しかし、その価値が言葉や構造として十分に整理されていなかったため、ユーザーの意思決定において有効に機能していなかった。
結果として、「魅力は伝わっているが、選ばれる理由としては成立していない」という状態が生まれていた。施設としてのポテンシャルと、ユーザーが受け取る理解との間にずれが生じていたことが、このプロジェクトにおける出発点となっている。